古典読解問題4
次の文を読んで問いに答えよ
ある狩人、猪のししを見付け、打取らんと思ひ、あわてて玉を忘れ、空鉄砲をはなしける。
うろたへたる猪にて、(あ)おどろきて死しけり。かかる所へ、猪買来りければ、さいわいと思ひ、
売りけるが、買手、何と、この猪には鉄砲のあともなし。いつ死んだも知れぬ。
古うは
ないかといへば、狩人、「たつた今、打ちました」「いや、古そうな」(い)とて、引かへし見
れば、かの猪、むくむくと起きあがり、山をさして逃げける。狩人、指ざしして、「あの
(う)あたらしさを御覧ぜ」。
注 猪買 |狩人から獣の皮や肉を買う商人。
引かへし|ひっくり返して。
一 文章中の会話で、「 」をつけていない部分がある。 その会話の最初と最後を
五文字ずつ抜き出して答えよ。ただし句読点を含む。
二 (あ)おどろきて死けりとあるが、何におどろいたのか。答えよ。
三 (い)とて は現代語ではどのような意味か。答えよ。
四 猪に逃げられた狩人は残念なはずなのに(う)あのあたらしさを御覧ぜといったのはどのような気持ちだったからか。